知覚過敏の仕組み

虫歯が無く、歯茎も特別トラブルらしきものは感じないのに、熱いものや冷たいものを飲んだり食べたりした時、あるいは歯を磨いている時や口をすすぐ時に痛みを感じるのは「知覚過敏」かもしれません。

 

「知覚過敏」は略称で、正式には「象牙質知覚過敏症」と呼ばれています。

歯の表面は、人体の中でも最も硬い組織の「エナメル質」で覆われていますが、さまざまな原因によって、エナメル質が剥がれたり、歯茎が下がってエナメル質の内部にある「象牙質」が露出することがあります。

その状態で冷たいものを飲んだり食べたりすると、象牙質に小さく空いている穴(象牙細管)を通じて、歯の神経(歯髄神経)に直接刺激が伝わり、瞬間的な刺激を感じてしまいます。

さらに歯の根元の象牙質は、欠けやすい「セメント質」で覆われています。

歯根部分が露出すると、セメント質は刺激を受けやすく、しみたり痛むようになります。

知覚過敏の原因

●歯の根元の露出(くさび状欠損)

歯の根元部分は「エナメル質」が薄く、少し削れるだけで内部の象牙質が露出しやすい場所です。

歯周病、噛み合わせなどが原因で、根元が露出していると知覚過敏を起こしやすくなります。

 

●歯の摩耗

就寝中の歯ぎしりなど、歯の表面のエナメル質部分が摩耗して内部の象牙質が露出した場合にも知覚過敏を起こすことがあります。

 

●噛み合わせ

歯と歯がぶつかり合う際の衝撃や力が、根元周辺のエナメル質が目に見えないクラック(ひび割れ)を起こします。

外見上は何ともないように見えても、内部の象牙質に刺激を伝える状態になり、知覚過敏を起こすことがあります。

知覚過敏の治療法

虫歯や歯周病、噛み合わせなどが原因ではなかった場合は知覚過敏ということになりますが、知覚過敏は1~3年で自然治癒することが多くあります。

歯髄神経には、一定の刺激を受け続けると、ある時から刺激を受けにくくするように、自分の力で修復する仕組みがあるからです。定期的に歯科医院で状態を見ながら、上手に知覚過敏と付き合っていきましょう。

●薬剤の塗布、重点

刺激を遮断する効果のある薬剤を知覚過敏の部分に塗布したり、樹脂を詰めたりします。

 

●知覚過敏用歯磨き剤の使用

知覚過敏に対する薬効成分が含まれている歯磨き剤を使用します。

あくまでも補助的な治療法です。

 

●ブラッシングで歯垢を取り除く

効果的な治療法と同時に予防法でもあります。

期間は多少要しますが、症状をかなり抑えることができます。

正しいブラッシングは知覚過敏以外にも、虫歯や歯周病予防にもなりますから、ぜひ身に付けたいものです。

 

●歯の神経を抜く(抜髄)

歯の神経(歯髄)に麻酔をかけて除去します。症状はなくなりますが、歯髄をなくすため、歯はダメージを受けます。歯の神経を取ってしまうと歯に栄養分が運ばれなくなり、もろくなったり、歯の変色の原因になってしまいます。「最終手段」と考えるとよいでしょう。


知覚過敏以外の痛み

知覚過敏以外にも、歯の痛み(刺激)は起こります。歯の痛みを感じた時には歯科医院を受診しましょう。また3-6ヶ月に一度の定期健診を受けるのも予防対策として重要です。

 

●虫歯

虫歯で歯に穴が開くと、さまざまな刺激で痛みが出てきます。知覚過敏は原因が取り除かれたら症状が治まるのに対し、虫歯は痛みが長引きます。

 

●歯周病

歯肉の中に隠れているはずの歯の根元が露出したり、歯肉が腫れて歯がしみやすくなります。

 

●歯ブラシ

力任せにブラッシングや、過剰な研磨剤を含んだ歯磨き剤などで、エナメル質が削れてしまうことがあります。定期健診を受ける際に、歯磨き指導を受けるとよいでしょう。磨き方を定期的にチェックすると事で、磨きすぎを防ぐことができます。

酸蝕歯について

「酸蝕歯(さんしょくし)」は、主に酢やかんきつ類、炭酸など「酸性」の食品を摂取することで、徐々に歯の表面が溶けてしまう症状をいいます。

歯を覆う硬いエナメル質がなくなり、象牙質が露出した歯の神経が刺激を受けることで発症する知覚過敏を予防するには、酸蝕症にならないことがとても大切です。

食品の影響以外でも、逆流性食道炎やストレスによる胃炎、胃酸が口の中に出やすい状態が続いたり、メッキ工場勤務などで酸性のガスに日常的にさらされたり、酸性の温泉が出る地域に住んでいて、温泉水をよく口に含む習慣があると酸蝕症になることがあります。

酸蝕歯の予防

口の中はアルカリ性と酸性のバランスが常に変化しています。酸性が強くなると歯のエナメル質は溶け始めてしまいます。酸蝕歯にならないためには、口の中を中性に保つことと、歯の表面を傷つけないことを心がけます。

 

●酸性食品を洗い流してから寝る

酸性度が高い食品を摂った後は歯磨きをしましょう

 

●酸性に傾いた口内を中性に近づけてから歯磨きする

歯磨きのタイミングは、食後すぐにではなく10分以上経過し、口内が酸性から中性に戻った頃です。

 

●硬い歯ブラシを使わない・軽い力で磨く

極端に硬い歯ブラシの使用は避け、軽めの力で磨きます。

 

●酸蝕歯を予防する成分が入った歯磨き粉を使う

酸に溶けにくい状態を作る「フッ素」や、歯のエナメル質結晶の構成成分「ハイドロキシアパタイト」配合の歯磨き粉が効果的です。

酸蝕歯の治療

ごく初期の酸蝕歯は、薬剤で歯の再石灰化を促すなどの治療が行われます。

進行してしまうと、欠損部に詰め物をしたり、クラウンを被せる、また、重度の場合は神経を取ったり、抜歯するなど、虫歯と同じ処置が行われます。